大腸と「篤姫」で過ぎて行く10月。
1日に10ページぐらいしか読めない時もあったが、
面白かった。最後の章、「余生」までたどりつき、
幕末と明治、遠いようで、今につながる・・・近い過去。
ほとんど気にもしなかった時代に、興味がわいてくる。
本棚の隣に「藤村詩抄」があったので、パラパラとめくる。
当然、「初恋」を読む。
初 恋
まだあげそめし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花簪の
花ある君とおもひける
やさしく白き手をのべて
りんごをわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひそめしはじめなり
わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋のささやきを
君が情けに酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのずからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふことこそかなしけれ
晴れた11月、島崎藤村の生まれ育った、馬込を
旅した。
本当に小さな集落だった。恋に目覚めた早熟の藤村が
少女のゆれかんざしに、くらくらしても、生涯を
そこで,暮らす分けには行かない、小ささと
藤村の才能の大きさを実感した。
りんごは、香りも清らかで、みずみずしい。
この秋、朝に晩に、りんごを食べて、とても、私の
くたびれている大腸を、整えてくれる。