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惜しむ夏 その1

夏の終わり 
森山直太郎
  
 水芭蕉揺れる畦道 肩並べ夢を紡いだ
 流れゆく時に 笹舟を浮かべ
 焼け落ちた夏の恋唄 忘れじの人は泡沫(うたかた)
 空は夕暮れ
 
 途方に暮れたまま 降り止まぬ雨の中
 貴方を待っていた 人影のない駅で
 
 夏の終わり 夏の終わりにはただ貴方に会いたくなるの
 いつかと同じ風吹き抜けるから

 追憶は人の心の 傷口に深くしみいり
 霞立つ野辺に 夏草は茂り
 あれからどれだけの時が 徒に過ぎただろうか
 せせらぎのように

 誰かが言いかけた 言葉寄せ集めても
 誰もが忘れゆく 夏の日は帰らない

   夏の祈り 夏の祈りは 妙なる蛍火の調べ
   風が揺らした 風鈴の響き

   夏の終わり 夏の終わりには ただ貴方に会いたくなるの
   いつかと同じ風吹き抜けるから
   
   夏の終わり 夏の終わりにはただ貴方に会いたくなるの
   いつかと同じかぜ吹き抜けるから

 さくら舞い散る道の上で また会おうと 唄って別れた友と
 春が過ぎ、夏が来て その夏も終わるとき、もう
 ただ貴方と会いたくなるのだね
 いつかの風が吹き抜けて行くところで

   ゆく春よりも、行く秋よりも、行く夏は惜しい
   どんなに 暑くても、どこにも行かなくても
   夏は濃く 鮮やかに  生命の源を 思い出させてくれる
   

 
by popmamy | 2005-08-25 00:05


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